花木図鑑|ひみつの花園 | サクラ ”須磨浦普賢象"
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花木図鑑

FLOWERS AND TREES

4月

サクラ ”須磨浦普賢象"

  • 花が咲く
  • 香りがする
  • 高木
  • 落葉樹
神戸市須磨浦公園内に植えられている「普賢象」の枝変わりとして発見された品種で、八重咲きの大倫の黄緑色の花をつける。
 

<“普賢象(ふげんそう)”とはどんな桜?>

“須磨浦普賢象”の前に、関係の深い“普賢象”桜について紹介します。
“普賢象(ふげんそう)”は桜ファンの間では有名な八重咲きの淡紅色の桜です。室町時代にはすでに日本で鑑賞されていたと伝えられています。
“普賢象”という古風な名前の由来には、二つの説があります。
一つ目の説は、花の中央に伸びる2本の長い雄しべが、普賢菩薩が乗っている白い象の鼻(または牙)に似ているからという説です。
二つ目の説は、神奈川県鎌倉市にある普賢堂に室町時代からこの桜があったから、という説。この説をとり、この桜を普賢堂と呼ぶこともあるそうです。
 
 

<神戸市・須磨浦公園で発見された新種の桜>

“須磨浦普賢象”は兵庫県神戸市の須磨浦公園で1990年に、普賢象の枝の一部が枝変わりしているのを発見された桜。枝変わりとは、植物の一部の枝にだけに起こる突然変異のことです。
1992年に正式に新品種として認められ、公園の名前と“普賢象”の名前をとり“須磨浦普賢象”と名付けられました。
“須磨浦普賢象”の一番の特徴は、桜としてはめずらしい花の色です。咲きはじめは、黄緑色の花を咲かせ、次第に花の中心部からピンク色に花色を変化させます。同じ木に黄緑色やピンク色の花、二色が混ざった花が一度に見られることもあり、非常に見ごたえがあります。 
八重咲きで、開花時期が4月下旬であるという特徴は、“普賢象”と共通した性質です。
 
 

<普賢菩薩はどんな仏様?>

“須磨浦普賢象”の名前の元になったのは、桜の“普賢象”ですが、その語源とされる普賢菩薩とは、どんな仏様なのでしょうか?
まず「普賢」は「普(あまね)く賢い」と書く通り、すべてにわたり賢いという意味だそう。他に、世界にあまねく現れて仏の教えを広めたという意味もあるそうです。
お寺の釈迦三尊像にはいくつかのパターンがありますが、真ん中の釈迦如来像の左側に普賢菩薩像、右側に文殊菩薩像が並ぶ配置も多く見られます。
「三人寄れば文殊の知恵」の慣用句で知られる文殊菩薩が知恵の象徴であるのに対し、普賢菩薩は、行動的な菩薩なのだそう。
絵画や仏像で表現される普賢菩薩は、どこへでも行くことを示すように、いつも白い象に乗っています。そこ白い象の鼻や牙は、長く先端がカーブしていて、たしかに桜の普賢象の雄しべによく似ています。それにしても、雄しべという小さな部分に注目して、大きな桜を「普賢象」と名づけたのは不思議なことです。
室町時代は仏教が世俗化し、人々に身近になった時期だと言われているので、普賢菩薩も桜の名前になるほど知られた存在だったのかもしれません。
分類 バラ科モモ亜科スモモ属(サクラ属)
樹形 高木落葉広葉樹
学名・英名 Cerasus serrulata ‘Sumaura-fugenzo’
花言葉 (サクラ全般では)精神の美・優美な女性
鑑賞期 4月
花の色 黄緑色
関連LINK 日本花の会「桜図鑑」
※植物名称は、通名・流通名で記載している場合があります。
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須磨浦普賢象(すまうらふげんぞう) by まけまけ山

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モデル協力:もり・りさ 中尾 聖