花木図鑑|ひみつの花園 | 楪 ユズリハ
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花木図鑑

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楪 ユズリハ

  • 花が咲く
  • 高木
  • 常緑樹
他の常緑樹と比べ、ユズリハは若葉が出揃った期に古い葉が枯れ落ちます。世代交代を続けていく様は、縁起のよい樹木であると言われています。葉が世代交代する時期に小さな花が咲き、花後にブルーベリー状の実がなるが、毒性があり食べられない。

 

<楪(ユズリハ)は子孫繁栄の象徴>

楪は、5月ごろに若葉が出始めても古い葉が残り、8月から9月にかけて若葉が出そろってから古い葉がまとめて枯れます。その様子は、まるで子どもの成長を見届ける親のようであることから、楪は子孫繁栄の象徴とされています。
また、漢字表記は「楪」だけでなく、「杠」「譲葉」「弓弦葉」と書くこともあります。
楪は、枝の先端から束状に細長い葉をつける常緑高木で、遠目にはタブノキやマテバシイとよく似ています。見分けるポイントとして、楪には「葉のつけ根が赤い」という特徴があります。覚えておくと、身近な公園や散歩道でも楪の木を見つけることができるかもしれません。楪の樹高は、10メートル以上になることもあります。庭木として植える場合には、大きくなりすぎないように適切な剪定が必要です。

 

<楪の葉は正月飾りに>

子孫繁栄の象徴である楪の葉は、お正月飾りにも用いられます。
子孫繁栄というなら、他の樹木も立派に子孫を残しています。しかし、楪の「若葉がそろった後に古い葉がまとめて枯れる」という性質は、特別に昔の人々の心を打つものがあったようです。楪のこの特徴は「世代交代が滞りなく行われ家が代々続くことにつながる」とされ、楪は縁起物とされてきました。その背景には、跡継ぎがいなくて困ったり、身内で揉め事が起こったり、さまざまな苦労があったことがしのばれます。
正月飾りにする場合、鏡もちの下に葉を敷いたり、しめ飾りにあしらわれる葉の一つにされます。

 

<昔から人々の身近にあった楪>

今では木材としてほとんど流通していない楪の木ですが、全国の縄文遺跡からはユズリハ属の木が出土されています。なんと楪は、縄文時代には石斧の柄として使われていたのです。これは、楪の木の粘り気のある性質が石斧に適していたからだと見られています。
縄文時代から人々の生活に身近な存在であった楪は、万葉集にも詠まれています。思い出深い吉野の地を訪れた24歳の弓削王子(ゆげのみこ)は、60代を迎え老齢のため都に残った額田王(ぬかたのおおきみ・弓削皇子にとってかつての父の愛人)に対して、この歌を送ります。
 
 「いにしへに恋ふる鳥かも弓絃葉の御井の上より鳴き渡り行く」
 
  (大意:昔を恋い慕う鳥なのでしょうか ゆずるはの茂る泉の上を鳴いて渡って行きましたよ)
 
この歌に「弓絃葉(ゆずるは)」が登場するのは、過ぎ去った日々を懐かしみ世代が交代していくことへの感慨を込めるためであり、楪が昔の人にとって身近な存在だったことを示しています。
 
分類 ユズリハ科ユズリハ属
樹形 常緑高木(高さ5~12メートル)
英名 False Daphne・Daphniphyllum macropodum
別名 譲葉・ショウガツノキ・ツルシバ・オヤコグサ
花言葉 世代交代
鑑賞期 通年
当園での植栽エリア 石原ワールド(石原和幸氏監修エリア)
※植物名称は、通名・流通名で記載している場合があります。
※「花木図鑑」でご紹介する植物は、当園及び周辺地区で生育している植物です。
※花木は生き物です。記載の鑑賞期に必ずご覧頂けることを保証するものではありませんのでご了承ください。
※「花木図鑑」やガーデンの植物については、Twitterやブログの #あくね花だより でもご紹介しています。

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モデル協力:もり・りさ 中尾 聖