花木図鑑|ひみつの花園 | 皇帝向日葵 コウテイヒマワリ
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花木図鑑

FLOWERS AND TREES

10月

11月

皇帝向日葵 コウテイヒマワリ

  • 花が咲く
  • 多年草
明治期に新渡戸稲造氏が日本に持ち込んだとされることから和名「ニトベギク」と呼ばれる。

 

<堂々と晩秋に咲く皇帝向日葵>

皇帝向日葵(コウテイヒマワリ)は、キク科メキシコヒマワリ属に分類され、名前の通りヒマワリの仲間です。小学校で育てるようなごく普通のヒマワリ(キク科ヒマワリ属)と比べると、中心の種になる部分は小さめで色も薄く、ガーベラにも似た花を咲かせます。
一番の特徴は、3〜5mほどの高さまで生長すること。まるで木のように大きな花です。
もう一つの特徴は、花を咲かせる時期が晩秋であることです。夏の花々が姿を消し、秋の花も少なくなる11月頃に、皇帝向日葵は見事に咲きほこります。

 

<皇帝向日葵と新渡戸稲造>

皇帝向日葵と新渡戸稲造には意外な関係があります。実は、皇帝向日葵の別名は「新渡戸菊(ニトベギク)」。かつて五千円札に描かれていた教育者・新渡戸稲造が、明治時代後期に日本に持ち帰った花なのです。新渡戸稲造がなぜ花を、と思ってしまいますが、新渡戸稲造は札幌農学校(現在の北海道大学)で学んだ農学士でもありました。若い頃には、北海道官吏として畑の作物を荒らすイナゴの大量発生を防ぐ対策を研究していたこともあるそうです。何のために皇帝向日葵を日本に持ち帰ったのか、その目的は定かではありませんが、新渡戸稲造という人は周囲の人のためになることを人生の信条としていたとのこと。皇帝向日葵が何かの役に立つことをねらっていたのではないでしょうか?

 

<ギリシャ神話の美青年ティトノスとの関係>

皇帝向日葵の学名は「Tithonia diversifolia」といいます。学名の前半チトニアという言葉は、ギリシャ神話に由来があります。美しい青年ティトノスの名前から来ているのだそうです。
このティトノスが登場するのは、次のようなお話です。曙の女神エーオースは、愛と美の女神アフロディーテの夫である軍神アレースと一夜をともにし、怒りをかってしまいます。アフロディーテにより、神ではなく人間に年がら年中恋するように魔法をかけられたエーオース。ある日、エーオースはトロイア国の王子である美青年ティトノスを気に入って連れ去り、ふたりは幸せに暮らし始めます。
しかし、人間であるティトノスが自分より早く死んでしまうことを恐れたエーオースは最高神ゼウスにティトノスを不死にしてもらうように願います。このとき「不老」と願うことを忘れてしまったため、ティトノスは年を経るごとに老いていきました。
エーオースは年老いたティトノスを愛し続けることができず、部屋に閉じ込めてしまいます。やがてティトノスは手足も動かせなくなり、声を出すだけの存在になりますが、不死の魔法のために生き続けました。そして、耐えきれなくたったエーオースによって、あるとき蝉に姿を変えられてしまったのだそうです。
神話では、かわいそうなことに蝉に変えられてしまったティトノス。ティトノスに関連する学名を持つ皇帝向日葵が、堂々と咲いてくれることが、せめてもの救いかもしれません。
 
分類 キク科ニトベギク属
原産地 メキシコ・中南米
英名・学名 Tree Marigold、Mexican Sunflower、Tithonia diversifolia
別名 ニトベギク・ガリバーヒマワリ
花色 橙、黄
鑑賞期 10~11月(暖冬では12月ごろ迄)
花言葉 あこがれ、私はあなただけを見つめる
※ヒマワリの花言葉
当園での植栽エリア イジュガーデン(カフェ正面右手の「楽園の小路」へ下るエリア)
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※植物名称は、通名・流通名で記載している場合があります。
※「花木図鑑」でご紹介する植物は、当園及び周辺地区で生育している植物です。
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モデル協力:もり・りさ 中尾 聖